【葉月のひとりごと】もしも脱毛症が子供に遺伝したら|子供を育てるということ

インスタグラムのメッセージで同じ脱毛症のOさんからこんなメッセージをいただきました。

Oさん

「こんにちは。私も同じ病気です。お子さんに遺伝したらどうしようとか思いますか?2歳になる娘がいて最近抜け毛が増えてきたので心配でたまりません。」

可愛い我が子が、髪がどんどん抜け落ちるあの絶望を経験するかもしれないと思うと、心配で心配でたまらなくなりますよね。

脱毛症は毛包組織に対する自己免疫疾患の病気であり、脱毛を起こしやすくする遺伝子が関係していると考えられています。けれども100%遺伝で発症の有無が決まるのかというと、決してそうではありません。遺伝の関与もありますが、生活習慣の乱れや食生活、その他の要因が複雑に絡み合うことで発症するそうです。私の知る限り、親と子で脱毛症を発症している人はおりませんが、脱毛しやすいという遺伝子が遺伝している可能性はあるわけで、私も他人事ではない悩みです。

PexelsDaniel Recheによる写真

自分の子供が脱毛症に限らず、何か大きい病気や障害を負うことになったら…”

Oさんから相談のメッセージを頂き、私が妊娠中に経験したことやその時に必死に考えたこと、そして私が出した答え、沢山の思いが頭の中に浮かびました。そして強く私の心に残った想いやその時の決断を思い出しました。その時に思ったことや私が出した答えがもしかしたらOさんや、こどもの病気に悩む親御さんの何かの参考になるかもしれない。そして私自身もその時の想いを忘れないようにしたい。そう願って記事として残したいと思います。

Pexelskelvin octaによる写真

実は息子を妊娠している時に、お医者さんから息子は肝臓移植が必要になるであろう病気を抱えていると言われていました。

胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)という病気です。肝臓で作られた胆汁の通り道である胆管がつまってしまい、胆汁が肝臓の中にとどまってしまうことで肝臓にダメージを与えてしまいます。生まれてすぐに手術が必要で、その手術をしてもある一定の患者は肝臓移植が必要になる病気です。

ちょうど妊娠20週目で、その病院の特融のサービスである胎児ドッグを受けた日のことでした。待ちに待った赤ちゃんの性別を教えてもらった日。もちろん嬉しい気持ちが先に立ったのですが、お腹の子供が女の子だと確信していた私はちょっと寂しいというか残念というか…。「あ、でも男の子もうれしいよ。ごめんよ、ベイビー。一瞬でも残念に思ったりして」などと心の中で一人会話をしていました。そんな甘酸っぱい幸せな気持ちが、次の院長先生の診察の時に一気に吹っ飛ばされます。

「胎児ドッグの結果ですが、赤ちゃんのお腹に黒い影があります。この病院ではこの影が何かは分からないので至急大きい病院で精密な検査を受けてください。」と言われました。

病院を出た途端に涙が止まらなくなり、一緒にいた夫の胸に泣き崩れました。というのも、『胎児 お腹に黒い影』でネット検索して出てくる病名は水頭症という無事に生まれるかどうかも危うい非常に重篤な病気だったのです。ショックで悲しくてたまりませんでしたが、ママが悲しんでばかりだとお腹の赤ちゃんに伝わると思い、なるべく赤ちゃんに「大丈夫だからね~」と対話したりしていました。けれども、少しでも気を許すと道を歩いていてもバスに乗っていても涙が溢れ出てしまう。そんな状態で数日を過ごしました。

PexelsFitusm Assefaによる写真

数日後、紹介してもらった大きい病院でより詳しいエコー検査を受けました。先生から説明された病気は、胆道閉鎖症。先に書いた、肝臓移植が必要になる可能性が高い病気です。病気に関する先生の説明を受け、お腹の赤ちゃんを愛おしく思う気持ち、先行きが分からなくて不安な気持ち、そして生まれる前に病気が分かったのは、万全の準備が出来るわけである意味ラッキーだったのでは等、沢山の感情が渦巻いていました。そして寝るまを惜しんでは常にネットで病気のことを検索したりしていました。

PexelsPavel Danilyukによる写真

妊娠後期になり、そろそろ「名前をどうしようか。」という話題が出てきた頃。わたしはお風呂の中でぼんやり赤ちゃんの名前について、そして赤ちゃんの病気について考えていました。

「胆道閉鎖症で生まれてきた我が子は、やはり肝臓移植が必要になるのだろうか。」「そうしたら夫ではなく、より年の若くてより健康な私の肝臓をあげよう。」「手術をしたら一生薬を飲まないといけないのか。」「運動はできるのか。」そして、「普通の子供と同じように元気に育つのか。」そんなことを考えていました。

ふと、「私はこの子にどんな人生を送ってほしいんだろう。」という問いが浮かびあがりました。そうしたら、とても強烈なイメージが頭の中に浮かんだのです。それは、大海原の空を翼を広げて力強く羽ばたく鳥のイメージでした。

「あぁ、私はこの子に自分が身を置く環境で力強く羽ばたき、自分の人生を生ききってほしいんだな。それが答えなんだ。」とストンと腑に落ちたのです。そして、子供がどんな病気や障害を負って生まれてきても「自分の人生を生ききる」ことが出来るように、私はできうる限りのことをしよう。と心に決めたのです。

そのお風呂場での気づきの後は、もうあまり悩まなくなりました。その代わりに、親の私ができることは何かを考え調べ行動に移し始めました。難病の子供が生まれた時に利用できる医療費助成制度のこと、保険のこと。そしてもちろん病気のことを調べて、実際に病気と闘っている親御さんのインスタアカウントにコンタクトをとってみたり、行動が能動的になりました。

そんなこんなで病院を大きい病院に転院し、赤ちゃんが生まれたら直ぐにNCIUに入れるように計画出産になったりと、万全の状態で出産を迎えたのですが、実際に生まれてきたのはまぁ健康そうな赤ちゃん。体重なんて約3500グラムもありました。実際は胆道拡張症という、胆道閉鎖症とは反対に胆道が広がっている病気であり、生まれて9カ月の頃に6時間以上にも及ぶ手術をすることになったのですが、またそれは別の話。

もう一つの私の経験として、息子が2歳の頃に、吃音(どもり)がでるようになりました。調べてみると、吃音症(きつおんんしょう)は発症した内の女の子は約80%、男の子は約60%が小学校に上がるまでに自然に良くなります。果たして息子が60%に入り自然に吃音が治るのか、それとも残りの40%に入り吃音と一生つきあって生きることになるのか。いずれにしても、妊娠中に決断した私の子育てについての軸があったおかげで、親として出来る限りのサポートが出来るように書籍を読み漁ったり等の勉強はしておき、それ以上の心配はせずに見守ることができました。

さて、話を戻します。「もし、息子も私と同じように脱毛症を発症したら。」

抜け落ちる息子の髪を見るたびに悲しくてやりきれなくなるでしょう。「私の遺伝子があなたにいっちゃってごめんね。」と心の中で謝ることもあると思います。でも、親として悲しんでいるだけではいけないと思うのです。

いずれにせよ、誰でも人は生きている内に何かしら試練に出くわします。病気にだってなると思うし、怪我だってするでしょう。たくさん失敗も挫折も経験するでしょう。

それでも、それを乗り越えて『自分の人生を生ききる強さ』この力だけは必ず身につけてほしい。
反対にいうと、その力さえ身につけば、どんな逆境や苦境に立たされてもきっと幸せになれると思うのです。

では、私はその力をつけさせるために何が出来るのか。


どんな自分でも愛せる『自己肯定感』、どんな苦境に立たされていても自分は大丈夫と感じられる『自己信頼』を身につけさせる。その為にお母さんから沢山愛された経験。そしてお母さんはどんな自分でも受け入れてくれるという安心感を、子供が小さい頃こそ惜しみなく与えることが必須なのです。そして、お母さん自身が人生を楽しんでいること。人生を挑戦している事。人を愛し愛されている事。そういったこと体現して語らずとも子供に見せることが必要と思っています。

きっとね、病気や障害問わず、どんな子育てもこのことに尽きるんじゃないかな。
あなたはどう思う?コメント欄を開いておくので、是非みんなの考えを教えてください。

Hazuki

3歳息子の母であり、このWEBマガジンの編集長。時々アパレルセレクトショップ勤務のファッションLOVER。26歳の時に頭からつま先まで全ての毛髪が抜け落ちる、汎発脱毛症になる。

よく転ぶし、失敗もする。そして落ち込む。モットーは『転んでもただでは起きない』。究極の精神的ケチである。

脱毛症になって10年以上苦しんだからには、この経験を人生のプラスにする為に、何ができるか?を考え始め、インスタグラムで自身の経験などを発信し始めた。

夢はSWW がVOUGE.JPに掲載されること。究極にオシャレで尚且つ最新の情報を発信できる存在となること。そして、沢山のヘアロスで悩む人達が一歩を踏み出すきっかけとなること。

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